大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 平成元年(行コ)9号 判決 1991年1月23日

控訴人

平野重之

右訴訟代理人弁護士

水野幹男

渥美玲子

平松清志

竹内浩史

被控訴人

津島労働基準監督署長上野守康

右指定代理人

高瀬正毅

西口武千代

田口俊夫

杉浦功一

戸本忠憲

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

一  控訴人

「原判決を取り消す。被控訴人が昭和五三年五月一七日付けで控訴人に対してした労働者災害補償保険法による障害補償給付支給に関する処分を取り消す。訴訟費用は第一・二審とも被控訴人の負担とする。」との判決。

二  被控訴人

主文同旨の判決

第二当事者の主張

次のとおり付加、訂正、削除するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決二枚目裏六行目の「左横椎」(本誌本号<以下同じ>60頁1段9行目)を「左腰椎横」と改める。

二  同三枚目表一行目の「残存後遺障害」(60頁1段16行目)を「残存障害」と、同四行目から五行目にかけての「(以下「障害等級表」という。)」(60頁1段21~22行目)を削る。

三  同六枚目裏五行目の「骨接(ママ)による」(61頁1段6行目)を「骨接(ママ)に伴って生じた」と改める。

四  同一一枚目裏三行目末尾(62頁2段3行目)に行を改めて「(8)(7)を争う。」を加え、同五行目冒頭の「(8)」(62頁2段4行目)を「(9)」と改める。

五  同一二枚目表六行目の「常備大工」(62頁2段21行目)を「常傭大工」と、同九行目の「型枠を」(62頁2段25行目)を「型枠の」と、同一三枚目裏三行目(62頁4段3行目)から四行目(62頁4段4行目)にかけての「外傷によって歯状突起骨折による」を「外傷に基づく歯状突起骨折に伴って生じた」とそれぞれ改める。

六  同一四枚目表六行目の「関軸」(62頁4段21行目)を「環軸」と、同裏七行目の「レントゲン」(63頁1段5行目)から同九行目の「そして」(63頁1段7行目)までを「骨折の疑いがあるとの趣旨であると証言し、さらに」と、同三行目、同四行目(62頁4段31行目、63頁1段1行目)、同一五枚目表二行目(63頁1段13行目)及び同九行目の各「C1」(63頁1段22行目)を「第一頸椎」とそれぞれ改める。

七  同一五枚目表二行目の「レントゲン写真において」(63頁1段13行目)を削り、同六行目の「得て」(63頁1段17行目)を「射て」と改める。

八  同一六枚目表九行目(63頁2段21行目)及び同裏一行目(63頁2段25行目)の各「C2」を「第二頸椎」と、同四行目(63頁2段30行目)及び同六行目(63頁3段2行目)の各「フィルム」を「写真」と、同七行目の「写真も」(63頁3段4行目)を「写真を」とそれぞれ改め、同八行目の「レントゲン写真上」(63頁3段5行目)を削り、同末行の「鑑定意見書」(63頁3段8~9行目)を「鑑定意見」と改める。

九  同一七枚目表六行目の「摘示」(63頁3段17行目)を「指摘」と、同裏一〇行目の「における」(63頁4段8行目)を「によれば、」と、同末行の「ロンベル」(63頁4段8~9行目)を「ロンベルグ」とそれぞれ改める。

一〇  同一八枚目表二行目の「鑑定意見書において」(63頁4段12行目)を削り、同三行目から四行目(63頁4段14行目)にかけての「も、これを認める」を「の鑑定意見にも、平衡機能障害があることを認めるべき」と、同八行目の「認めていない」(63頁4段21行目)を「ないとしている」と、同裏八行目(63頁4段27行目)及び同末行(64頁1段5行目)の各「認めて」を「認められて」とそれぞれ改める。

一一  同一九枚目表四行目の「のこと」(64頁1段15行目)を削り、同七行目の「「肩関節欄」」(64頁1段19~20行目)から同末行末尾(64頁1段26行目)までを「肩関節の挙上欄には、関節運動筋力が半減した旨の記載があるので、挙上制限があるものと認められるが、自動六〇~〇度とも記載されており、自力にて六〇度の挙上が可能であることを示している。」と、同裏四行目の「不能とする」(64頁2段1行目)を「不能な」と、同七行目の「についても」(64頁2段5行目)を「については」と、同八行目から九行目にかけての「握力数値八を示し」(64頁2段7~8行目)を「八キログラムと」と、同行から一〇行目にかけての「右一一、左八を」(64頁2段9行目)を「右一一キログラム、左八キログラムと」とそれぞれ改め、同行の「診断書」の前に「の」を加え、同末行の「一九、左一三の数値の診断が」(64頁2段10~11行目)を「一九キログラム、左一三キログラムと」と改める。

一二  同二〇枚目表二行目の「保有しており、」(64頁2段13~14行目)を「保有していることを示しており(」と、同裏九行目の「事柄」(64頁3段9行目)を「点」とそれぞれ改める。

第三証拠関係

原審及び当審の各証拠関係目録記載のとおりであるからこれを引用する(略)。

理由

当裁判所も、控訴人の本訴請求は失当として棄却すべきものと判断するが、その理由は、次のとおり付加、訂正、削除するほか、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決二二枚目表一行目の「頭痛」(64頁4段15行目)から同四行目の「入らず」(64頁4段19行目)までを「頭部及び頸部の疼痛、耳鳴等の神経症状、眩暈、頸部より両上肢、胸背部への放散痛、腹痛、胸痛、右手指の疼痛、」と改め、同八行目の「二二号証、」(64頁4段26行目の(証拠略))の次に「第二八号証、」を加え、同裏二行目の「第三六号証の一、二」(64頁4段26行目の(証拠略))を「第三六号証の一、第四七号証」と、同八行目の「原本」(64頁4段31行目)から同九行目の「争いがない」(65頁1段2~3行目)までを「原審における控訴人本人尋問の結果により原本の存在及び成立を認める」とそれぞれ改める。

二  同二三枚目表一〇行目の「第四九号証、」(65頁1段3行目の(証拠・人証略))の次に「平成元年六月二九日に愛知県海部郡弥富町大字五明川平外地内を撮影した写真であることに争いのない乙第三六号証の二、」を、同裏五行目の「証言、」(65頁1段13行目の(証拠略))の次に「当審証人堀田千枝の証言、」をそれぞれ加え、同行の「第一、二回」(65頁1段13行目の(証拠略))を「原審第一・二回、当審」と改める。

三  同二四枚目表末行の「一〇月」(65頁2段9行目)を「一一月」と改め、同裏八行目(65頁2段19行目)から同末行(65頁2段23行目)にかけての括弧書部分を削り、同末行の「一二月」(65頁2段24行目)を「一一月」に改める。

四  同二五枚目表一行目の「頂部」(65頁2段26行目)を「項部」と、同七行目の「として」(65頁3段4行目)を「において」と、同行の「ロンバルウ」を「ロンベルグ」とそれぞれ改め、同裏三行目から四行目にかけての「平衡機能検査にて、」(65頁3段14行目)を削る。

五  同二七枚目表二行目の「項、腰部痛」(65頁4段29行目)を「頸・腰部痛」と改め、同末行(66頁1段12行目の昭和五二)の冒頭から「原告の」(66頁1段13行目)までを削り、同裏四行目の「右」(66頁1段19行目)の次に「(左の誤記か。)」を加え、同七行目の「右」(66頁1段23行目)を「左」と改め、同八行目末尾(66頁1段25行目)に行を変えて「なお、海南病院の昭和五二年一一月四日のカルテには『X―P・軸椎骨折?』と記載されているだけで、他に骨折に関する記載はない。」を加える

六  同二八枚目表末行の「突起が脊髄」(66頁2段15行目)を「突起を圧迫し、これがさらに頸髄」と、同裏七行目の「報告をし、その他」(66頁2段25行目)を「報告をしており、また、その他にも」と、同九行目の「原告は、」(66頁2段29行目)を「控訴人には」とそれぞれ改め、同一〇行目の「跛行」(66頁2段30行目)の前に「痙性」を加える。

七  同二九枚目表九行目の「一キロメートル」(66頁3段14行目)の次に「(ただし、二、三回休む。)」を加え、同行の「状態である。」(66頁3段15行目)は次のとおり改める。

「状態である(控訴人本人は、当審において、原審で供述しあるいは医師に対して述べた歩行可能距離は、実際に歩行した結果を述べたものではなく憶測で述べたものである旨供述しているが、措信することができない。)。なお、控訴人は、昭和五九年七月中部労災病院に入院中、看護婦が見ていることを意識していない時には振せんがなくスムーズに車椅子を押して歩行し、あるいは右手で電話のダイヤルを回していたが、看護婦に見られていることに気付くと振せんが大きくなることが観察されている(控訴人は、当審において、振るえは寝ていても止まることがない旨供述しているが、右の事実に照らして措信することができない。)。」

八  同二九枚目裏五行目の「履く、」(66頁3段25行目)の次に「片足で立つ、最敬礼をする、」を加え、同六行目の「全く」(66頁3段26行目)を、同九行目の「書字は」(66頁3段28行目)をそれぞれ削り、同一〇行目冒頭から(66頁4段1行目のさらに原告)同三〇枚目表二行目末尾まで(66頁4段7行目)を次のとおり改める。

「次に、控訴人は右手第二ないし第四指欠損の既存障害を有するところ(この事実は当事者間に争いがない。)、握力検査の結果は次のとおりであり(単位はキログラム)、同一手の数値の比較においても、あるいは左右手の数値の比較においても、検査の度毎に数値の変化が甚だしくて一定の傾向を見いだすことはできず、右の検査結果のうちの低数値の部分に全幅の信頼を措くことはできない。

昭和五二年一一月一七日 右五 左二二

昭和五三年一月三〇日 三 八

昭和五四年二月二八日 一一 八

昭和五五年二月六日 一九 一三

昭和五六年二月一〇日 二 一二

同年一一月一日 一二 六

昭和五七年一月一一日 五 一六

昭和五八年二月二六日 四 六・五

昭和五九年一月一〇日 五 一二・五

同年七月一五日 七 一二

同月一六日 三 一〇

同月一七日 五・五 一二・五

同月一八日 一〇 八

同月一九日 八 七

昭和六〇年二月二五日 六 六

昭和六一年二月一二日 八 八

昭和六二年三月一八日 八 二

同年五月一五日 五 一六

同年七月一八日 五 一六

さらに、控訴人は、海南病院に入院中の昭和五〇年一一月ころ、同病院において、独りで車椅子を利用して戸外に出、オートマチックの自動車に乗り換えてその運転を試みたところ、発進時に前に吸い込まれるような違和感を覚えたが、自動車を運転して道路に出ることができた。」

九  同三〇枚目表四行目の「受け」(66頁4段10行目)の次に「たところ」を加え、同五行目の「内容として」(66頁4段11行目)を「内容は」と改め、同六行目末尾(66頁4段13行目)に行を変えて次のとおり加える。

「なお、被控訴人は、控訴人が更新時の適性検査に合格して自動車運転免許の更新を受けており、このことは同人が自動車の運転に必要とされる動作、操作をすることができることを裏付けるものであると主張する。しかし、成立に争いのない甲第五〇号証の一ないし三、当審証人堀田千枝の証言及び当審における控訴人本人尋問の結果によれば、控訴人は、本件事故の前である昭和四四年頃自動車運転免許を取得し、本件事故に遭遇した後にも昭和六三年八月までその更新を受けて来たことが認められるが、平成二年八月には四肢の運動能力不適との理由で更新を拒絶されたことも認められるうえ、本件全証拠によっても、従前の更新の際、実際にどのような検査が実施されたのかが明らかではなく、未だ、建前どおりの適性検査をした結果運動能力が十分あると判断したうえで更新がなされたものと認めることはできないので、控訴人が本件事故後に自動車運転免許の更新を受けたとの事実だけから直ちに、控訴人が自動車運転をするに十分な運動能力を有しているものということはできない。」

一〇  同三二枚目表九行目の「示されて、」(67頁2段21行目)を「示され」と改め、同裏六行目の「これら」(67頁3段2行目)を「前記」と改め、同八行目の「もの」(67頁3段5行目の…判断されたものとし)を削る。

一一  同三三枚目表一行目の「前記平林所見によれば、」(67頁3段12行目を削り、同三行目の「同時に」(67頁3段15行目)を「また、」と改め、同四行目の「果たしている」(67頁3段16行目)の次に「こと」を加え、同末行から同裏一行目にかけての「提出された鑑定意見書」(67頁3段27行目)を削り、同五行目の「症候群」(67頁4段3行目)の次に「ということになる」を加え、同八行目の「うえ、」(67頁4段7行目)から同九行目末尾(67頁3段10行目の…得られたもの)までを削る。

一二  同三四枚目表一〇行目の「程度は、」(67頁4段27行目)の次に「障害等級第五級の一の二の」を加え、同末行の「極めて」(67頁4段16行目)を「特に」と改め、同裏二行目の「以上に、」(67頁4段31行目)の次に「障害等級第三級の三の」を加え、同五行目の「整形外科的」(68頁1段5行目)から同末行の「によれば、」(68頁1段13行目)までを削る。

一三  同三五枚目表一行目の「が狭小化し」(68頁1段15行目)を「の狭小化・」と、同六行目の「成立に」(68頁1段23行目)から同七行目の「認定基準の」(68頁1段24~25行目)までを「労働者災害補償保険法施行規則一四条に定める」と、同九行目の「これを」(68頁1段27行目)から同一〇行目の「前記のとおり」(68頁1段29行目)までを「控訴人には、前記のとおり、これよりも重い脊髄損傷に基づく神経系統の障害が存するのであるから、右のせき柱の障害は、神経系統の障害として総合的に判断すべきである。そして、右のせき柱の障害が存することによって、前記の」と、同裏三行目の「同施行規則」(68頁2段2行目)を「同法施行規則」と、同末行の「当事者間に争いがないものであるのが」(68頁2段15行目)を「前記のとおりであるが」とそれぞれ改める。

よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき行訴法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 野田宏 裁判官 瀬戸正義 裁判官 園部秀穂)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例